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東京高等裁判所 平成9年(行ケ)131号 判決 1998年9月24日

新潟県刈羽郡高柳町大字岡野町1718番地

原告

植木忠史

訴訟代理人弁理士

吉井剛

吉井雅栄

東京都千代田区霞が関三丁目4番3号

被告

特許庁長官

伊佐山建志

指定代理人

木村史郎

田中弘満

幸長保次郎

廣田米男

主文

特許庁が平成2年審判第13007号事件について平成9年3月19日にした審決を取り消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

事実

第1  原告が求める裁判

主文と同旨の判決

第2  原告の主張

1  特許庁における手続の経緯

原告は、昭和62年3月9日に考案の名称を「木造家屋の外回り構造」とする考案(以下「本願考案」という。)について実用新案登録出願(昭和62年実用新案登録願第34708号)をしたが、平成2年4月27日に拒絶査定を受けたので、同年7月19日に拒絶査定不服の審判を請求し、平成2年審判第13007号事件として審理された結果、平成6年8月10日に出願公告(平成6年実用新案出願公告第29292号)されたが、登録異議の申立てがあり、平成9年3月19日、異議申立ては理由がある旨の決定とともに「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決を受け、同年5月7日にその謄本の送達を受けた。

2  本願考案の実用新案登録請求の範囲(別紙図面A参照)

木造家屋を構成する柱1、土台12、鴨居2、桁13、梁3、束15、母屋16、棟木14、垂木4などの骨材により囲まれた空間部5に、該空間部5に合わせた形状にして骨材に当接する囲まれた補強周壁8を有しこの補強周壁8の内面にして該補強周壁8の表裏端縁双方から所定の距離だけ奥まった位置に平板6を張設した枠体aを嵌合して前記空間部5を閉塞し、枠体aの外側に外壁材10を内側に内壁材11を設けたことを特徴とする木造家屋の外回り構造。

3  審決の理由

別紙審決書「理由」写しのとおり(なお、審決における甲第2号証の特許出願公開公報を、以下「引用例」という。)

4  審決の取消事由

引用例に審決認定の技術的事項が記載されていることは認める。しかしながら、審決は、一致点の認定及び相違点の判断をいずれも誤った結果、本願考案の進歩性を否定したものであって、違法であるから、取り消されるべきである。

(1)一致点の認定の誤り

審決は、本願考案と引用例記載の発明は「木造家屋の外回り構造」に関するものである点で一致する旨認定している。

しかしながら、引用例記載の発明は、防音壁の形成方法に関するものであって、木造家屋のすべての外回りをパネルで構築することを骨子とする本願考案とは、全く別異の技術的思想であるから、審決の上記認定は誤りである。

(2)相違点の判断の誤り

審決は、本願考案と引用例記載の発明は、相違点に係る構成において差異はない旨判断している。

しかしながら、引用例には、「空気層(9)を介在させて配置された2枚の石膏ボード(10)(11)の外周を枠(12)で囲んだ」(2頁左下欄13行、14行)防音壁部材(8)の構成が記載されているにすぎず、本願考案の要件である「補強周壁8の内面にして該補強周壁の表裏端縁双方から所定の距離だけ奥まった位置に平板6を張設した枠体a」に相当する構成は記載されていないから、審決の上記判断は失当である。

この点について、被告は、木造家屋を構成する骨材によって囲まれた空間部に、平板を張設した枠体を嵌合して空間部を閉塞する建築方法において、枠体に張設する平板を1枚にすることは本出願前の周知技術であるから、引用例記載の壁構造における2枚の石膏ボードを1枚に減らすことは、当業者がきわめて容易にできた事項にすぎない旨主張する。

しかしながら、引用例記載の発明は防音壁に関するものであり、審決が援用した実施例は、防音効果を高めるためにこそ、空気層を介在させて配置された2枚の石膏ボードの外周を枠で囲む構成を採用しているのである。したがって、同実施例の要である2枚の石膏ボードを1枚に減らすという動機付けが生ずるはずがないから、被告の上記主張は失当である。

第3  被告の主張

原告の主張1ないし3は認めるが、4(審決の取消事由)は争う。審決の認定判断は正当であって、これを取り消すべき理由はない。

1  一致点の認定について

原告は、引用例記載の発明は、壁の形成方法に関するものであって、木造家屋のすべての外回りをパネルで構築することを骨子とする本願考案とは別異の技術的思想である旨主張する。

しかしながら、本願考案の実用新案登録請求の範囲には「柱1、土台12、鴨居2、桁13、梁3、束15、母屋16、棟木14、垂木4などの骨材により囲まれた空間部5」と記載されているから、本願考案の要件である「空間部5」は、木造家屋の外回りを構成する骨材によって囲まれた空間部のすべてをいうのではなく、およそ木造家屋の外回りを構成する骨材により囲まれた空間部であれば、どのような空間部でもよいと解すべきである。したがって、木造家屋の外回りを構成する骨材により囲まれた空間部の一つである「壁」に関する引用例記載の発明が、本願考案とは別異の技術的思想であるという原告の主張は、失当である。

この点について、原告は、本願考案は木造家屋のすべての外回りをパネルで構築することを骨子とする旨主張するが、本願明細書にはそのような事項は記載されておらず、原告の上記主張は明細書の記載に基づかないものである。

2  相違点の判断について

原告は、引用例には本願考案の要件である「補強周壁8の内面にして該補強周壁の表裏端縁双方から所定の距離だけ奥まった位置に平板6を張設した枠体a」に相当する構成は記載されていない旨主張する。

しかしながら、木造家屋を構成する骨材によって囲まれた空間部に、平板を張設した枠体を嵌合して空間部を閉塞する建築方法において、枠体に張設する平板を1枚にすることは、例えば、昭和49年実用新案出願公告第12176号公報、昭和46年実用新案出願公告第204号公報、昭和55年実用新案出願公開第71210号公報あるいは昭和60年実用新案出願公開第126602号公報に記載されているように、本出願前の周知技術である。したがって、引用例記載の壁構造における2枚の石膏ボードを1枚に減らすことは、当業者がきわめて容易にできた事項にすぎないから、相違点に関する審決の判断に誤りはない。

なお、引用例記載の壁構造は3層の空気層を持つから、防湿効果の点で本願考案に劣ることはなく、工期を短縮するとともに強固な建築物が得られる点でも、本願考案と同様と考えることができる。

理由

第1  原告の主張1(特許庁における手続の経緯)、2(本願考案の実用新案登録請求の範囲)及び3(審決の理由)は、被告も認めるところである。

第2  甲第2号証(手続補正書添付の明細書、図面)及び第17号証(公告公報の図面)によれば、本願考案の概要は、次のとおりと認められる(別紙図面A参照)。

1  技術的課題(目的)

本願考案は、効率的な施工が可能な木造家屋の外回り構造に関するものである(1頁13行)。

従来の木造家屋の外回り構造は、骨材により囲まれた空間部に小舞壁を塗った後、外回りと内回りを仕上げるので、工期が長くなるうえ、工費も高くなる欠点がある(1頁15行ないし19行)。

本願考案の目的は、従来技術の上記のような欠点を解消しうる木造家屋の外回り構造を創案することである(1頁21行)。

2  構成

上記の目的を達成するため、本願考案は、その実用新案登録請求の範囲記載の構成を採用したものであって(1頁4行ないし10行)、要するに、あらかじめ工場生産した枠体(パネル)を必要な箇所に嵌合し、固定するものである(1頁21行、22行)。

3  作用効果

本願考案は、

a  工期を短縮できる、

b  堅固な木造家屋が得られる、

c  外壁材と内壁材との間に2層の空間が形成されるため、高い耐湿効果が得られる

との作用効果を奏する(3頁5行ないし15行)。

第3  そこで、原告主張の審決取消事由の当否について検討する。

1  一致点の認定について

原告は、引用例記載の発明は、壁の形成方法に関するものであって、木造家屋のすべての外回りをパネルで構築することを骨子とする本願考案とは全く別異の技術的思想であるから、一致点に係る審決の認定は誤りである旨主張する。

しかしながら、本願考案の実用新案登録請求の範囲に、「木造家屋を構成する柱1、土台12、鴨居2、桁13、梁3、束15、母屋16、棟木14、垂木4などの骨材により囲まれた空間部5」と記載されていることは前記のとおりである。したがって、本願考案の要件である空間部は、およそ木造家屋の外回りを構成する骨材よって囲まれた空間部ならば、どのような空間部でもよいことになるが、外壁がこれに該当することはいうまでもないところである。原告の上記主張は、本願考案の要件である空間部5が、木造家屋の外回りを構成する骨材によって囲まれた空間部のすべてを指すことを前提とするものであって、失当というべきである。

2  相違点の判断について

原告は、引用例には本願考案の要件である「補強周壁8の内面にして該補強周壁の表裏端縁双方から所定の距離だけ奥まった位置に平板6を張設した枠体a」に相当する構成は記載されていないから、本願考案と引用例記載の発明は相違点に係る構成において差異はないとする審決の判断は、誤りである旨主張する。

検討すると、前掲甲第2号証によれば、本願明細書には「枠体aの平板6は、補強周壁8の内面にして該補強周壁8の表裏端縁双方から所定の距離だけ奥まった位置に張設されているから、十分な強度が得られるとともに補強周壁8の表裏端縁夫々に、外壁材10、内壁材11を付設した場合、該外壁材10及び内壁材11と平板6との間、双方に空間が形成され、よって、この二層の空間の存在分だけ耐湿効果が呈される」(3頁11行ないし15行)と記載されていることが認められる。すなわち、本願考案の要件である平板6は、補強周壁の強度を増すとともに、耐湿効果を得るために配設されたものであることが明らかである。

一方、甲第3号証によれば、引用例記載の発明は「防音壁形成方法」に関するものであって、その実施例の説明として、「防音壁部材(8)の構成は、空気層(9)を介在させて配置された2枚の石膏ボード(10)(11)の外周を枠(12)で囲んだものである。」(2頁左下欄12行ないし15行。別紙図面Bの第6、7、9図参照)と記載されていることが認められる。この記載によれば、2枚の石膏ボードは、内装パネル17と石膏ボード11との間、石膏ボード11と石膏ボード10との間、石膏ボード10と外装パネル19との間に、3層の空気層を形成することによって、防音効果をより高めるために配設されたものであると認められる。

そうすると、本願考案の要件である平板と、引用例の実施例に示されている2枚の石膏ボードは、明らかに技術的意義を異にする部材というべきである。したがって、両者を、「枠の内面に板体を設けて構成した壁部材」という上位概念で捉えて、その間に構成上の差異は認められないとした審決の判断は、失当といわざるをえない。

この点について、被告は、訴訟手続において初めて提出する実用新案公報を援用して、木造家屋を構成する骨材によって囲まれた空間部に、平板を張設した枠体を嵌合して空間部を閉塞する建築方法において、枠体に張設する平板を1枚にすることは、本出願前の周知技術であるから、引用例記載の壁構造における2枚の石膏ボードを1枚に減らすことは、当業者がきわめて容易にできた事項にすぎない旨主張する。

しかしながら、被告の上記主張は、審決の説示を離れるものであって、許されない。のみならず、引用例の実施例に示されている2枚の石膏ボードは、前記のように、引用例の実施例が防音効果をより高めるための要となる構成であるから、これを強いて1枚にするという発想は、生ずる余地がないと考えざるをえない(なお、引用例には、別紙図面Bの第10、11図に図示されているような実施例も示されているが、この場合も、2枚の石膏ボードを1枚にするという発想が生ずる余地のないことは、上記と同じである。)。

以上のとおりであるから、相違点に関する審決の判断は誤りである。そして、この判断の誤りは、本願考案の進歩性を否定した審決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。

第4  よって、審決の違法を理由にその取消しを求める原告の本訴請求は、正当であるから、これを認容することとし、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条の各規定を適用して、主文のとおり判決する。

(口頭弁論終結日 平成10年9月10日)

(裁判長裁判官 清永利亮 裁判官 春日民雄 裁判官 宍戸充)

別紙図面A

<省略>

<省略>

第1図は本実施例の正面図、第2図は本実施例の要部の側断面図、第3図は本実施例の枠体の斜視図、第4図は本実施例の枠体の断面図である。

a…枠体、1…柱、2…鴨居、3…梁、4…垂木、5…空間部、6…平板、8…補強周壁、10…外壁材、11…内壁材、12…土台、13…桁、14…棟木、15…束、16…母屋。

別紙図面B

<省略>

1、2……柱 12……枠

8………防音壁部材 15……突出部

9………空気層 16……木ねじ

10、11…石膏ボード 17……内装パネル

理由

Ⅰ. (手続きの経緯・本願考案の要旨)

本願は、昭和62年3月9日の出願に係るもので、本願考案の要旨は、平成6年8月10日に実公平6-29292号として出願公告された明細書および図面、並びに平成7年5月29日に差出しの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲に記載されたとおりの、

「木造家屋を構成する柱1、土台12、鴨居2、桁13、梁3、束15、母屋16、棟木14、垂木4などの骨材により囲まれた空間部5に、該空間部5に合わせた骨材に当接する囲まれた補強周壁8を有しこの補強周壁8の内面にして該補強周壁8の表裏端縁双方から所定の距離だけ奥まった位置に平板6を張設した枠体aを嵌合して前記空間部5を閉塞し、枠体aの外側に外壁材10を内側に内壁材11を設けたことを特徴とする木造家屋の外回り構造。」にあるものと認める。

Ⅱ. (異議申立人の主張と各甲第号証)

これに対して、実用新案登録異議申立人 井上俊一は、甲第1号証(特開昭62-10354号)、甲第2号証(特開昭52-154217号)を提出するとともに、本願考案は、これら甲第1、2号証に記載された技術内容からきわめて容易に考案できたものであるから、実用新案法第3条第2項により拒絶さるべきものである、と述べている。

そして、異議申立人の提出した甲第2号証(特開昭52-154217号、以下、単に甲第2号証と云う)には、

「まず第1図及び第2図に示す如く柱(1)と柱(2)との間及び土台(3)と桁(4)との間に正面略長方形の空間(5)を形成する。もし新築の場合であれば、間柱(6)の厚さを通常の約半分又は略2/3とするか、又は間柱を設けない。また既存の住宅の場合には、第2図に示す如く間柱(6)の厚さを約半分又はその1/3を削り落とす。または間柱(6)及び胴縁(7)を撤去しても差支えない。

一方、第3図~第6図に示すような規格された防音壁部材(8)を用意する。………略………この防音壁部材(8)の構成は、空気層(9)を介在された2枚の石膏ボード(10)(11)の外周を枠(12)で囲んだものである。

………略………空間(5)と防音壁部材(8)とが用意出来たら第7図に示す如く柱(1)と柱(2)との間に防音壁部材(8)を嵌込む。」(公報第2頁右上欄第12行~同右下欄第11行の記載参照)、

「防音壁部材(8)の結合が終了したら、第9図に示す如く枠(12)の前面開口部を内装パネル(17)とボード(11)との間に空気層(18)が介在した状態で防音壁が形成される。内装パネル(17)の反対向のパネル(19)は隣の部屋の内装パネル又は外装パネルであり、新築の場合は防音壁部材(8)の嵌め込みの前又は後に取付け、既存の住宅の場合はそのまヽ残しておく。

………略………

以上本考案の1実施例について述べたが、本考案は上述の実施例に限定されるものではなく、更に変形可能なものである。例えば、大壁造りとせずに第10図に示す如く防音壁部材(8)の前面に配設した内装パネル(17)の面を柱(1)の前面から後退させ、ちりが生じるようにし、真壁造りとしてもよい。即ち内装パネル(17)の所を土壁としてもよい。………略………また敷居と鴨居との間、腰壁などの部分にも適用可能である。」(公報第3頁左上欄第7行~同左下欄第3行の記載参照)、が記載されている。

したがって、以上の記載及び第1~3、6~11図の記載等を総合すると、甲第2号証には、木造家屋を構成する柱、土台、桁、梁などの骨材により囲まれた空間に、該空間に合わせた形状で骨材に当接する囲まれた枠を有し、この枠の内面に枠の表裏端縁双方から所定の距離だけ奥まった位置に石膏ボードを設けるとともに、更にこの石膏ボードと空気層を介在させて石膏ボードを設けて成る防音壁部材を嵌合して前記空間を閉塞し、該部材の外側に外装パネルを内側に内装パネルを設けた木造家屋の外回り構造、

が記載されているものと認める。

Ⅲ. (本願考案と甲第2号証との対比)

ここで、本願考案と前記甲第2号証に記載されたものとを対比すると、

本願考案の「空間部」は、甲第2号証に記載の「空間」に、

本願考案の「補強周壁」は、甲第2号証に記載の「枠」に、

本願考案の「外壁材」は、甲第2号証に記載の「外装ボード」に、

本願考案の「内壁材」は、甲第2号証に記載の「内装ボード」に、

それぞれ相当するものと認められる。

したがって、両者は、木造家屋を構成する柱、土台、鴨居、桁、梁、束、母屋、棟木、垂木などの骨材により囲まれた空間部に、該空間部に合わせた骨材に当接する囲まれた補強周壁を有しこの補強周壁の内面にして該補強周壁の表裏端縁双方から所定の距離だけ奥まった位置に平板を張設した枠体を嵌合して前記空間部を閉塞し、枠体の外側に外壁材を内側に内壁材を設けたことを特徴とする木造家屋の外回り構造、の点で構成を同じくしており、両者は、下記の点で構成を異にしているものと認める。

Ⅳ. (相違点)

本願考案が、“補強周壁の内面にして該補強周壁の表裏端縁双方から所定の距離だけ奥まった位置に平板を張設した枠体”と、平板を一枚設けたものであるのに対して、甲第2号証では、“枠の内面に枠の表裏端縁双方から所定の距離だけ奥まった位置に石膏ボードを設け、更にこの石膏ボードと空気層を介在させて石膏ボードを設けて成る防音壁部材”と、石膏ボードを空気層を介して2枚設けている点。

Ⅴ. (相違点の検討)

次に、上記相違点について検討すると、

甲第2号証のものも本願考案と同様に、骨材で囲まれた空間部に枠の内面に板体を設けて構成した壁部材を嵌合して閉塞し、壁を形成するものである点で構成上の差異は認められない。

なお、この点について審判請求人は、実用新案登録異議答弁書第4頁第22~24行において、「甲第2号証は防音壁形成方法であり、本願の堅固な家屋を短工期で構築しようとする技術思想は全く開示されていない。従って、甲第2号証は考察に値しない。」と主張しているが、上記したように甲第2号証のものも本願考案と同様骨材で囲まれた空間部に壁部材を嵌合して閉塞し、壁を形成するものである点で構成上及び施工上異なるものとは認められない。

Ⅵ. (結び)

以上のとおりであるから、本願考案は、甲第2号証に記載されたものに基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものと認められるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。

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